【現役証券マン談】証券マンって何をしてるの?一日の仕事内容について

皆様こんにちは。
今回は「証券マンの仕事内容」について解説していきます。
証券会社では働き方や仕事の仕方について10年前ほど前と大きく変わってきております。

ここでは現役証券マンとして働く私が実体験や、周囲の証券会社の友人から聞いた内容に基づいて現在の証券マンの抱える働き方事情について説明していきます。もちろん会社によって状況は異なってきますが、最近の証券業界について少しでも理解の助けになれば幸いです。

 

証券マンの仕事内容

まずここでは証券マンの仕事内容について確認していきます。
仕事内容は大きく分けて「新規開拓業務」、「既存顧客対応」の2つが証券マンの仕事になります。

新規開拓業務

まず証券会社に入社すると自分でお客さんをつくっていく必要があります。これが「新規開拓業務」です。
新規開拓とはその名の通り、これまで全く縁のなかった人に声を掛けて自分の顧客にしていくわけですから、まず経営者や高額納税者などのお金持ちの方々とアポイントを取ることが第一歩目になります。そのためにテレコールと飛び込み訪問及び手紙の三種類を営業ツールとして活用します。アポイントを1つ取るためにはテレコールだと100件程度かけることが目安になります。飛び込み訪問でも30件回って1件もらえるかどうかと言ったところでしょう。

アポイントが取れると、次に面談を行い、顧客に提案内容を受け入れてもらう必要があります。顧客によってニーズは様々であり、社会福祉法人や学校法人など自治体との関わりが深い業界には運用リスクの少ない国債や地方債を提案することが多く、事業法人やオーナー経営者に対しては株式や投資信託を提案することが多いです。顧客の希望する利回りや条件に沿うことが重要になります。

最後にクロージングですが、初回面談からクロージングまで早くて1ヶ月、平均でおよそ3ヶ月程度、長ければ1年や2年かかる事もあります。ここまで長期間に及ぶのは商品単価が高いことが挙げられます。投資信託などは1000万などの単位で購入することが多いため、顧客の購買意思だけでなく財務状況などの兼ね合いで判断する必要があります。そのため、短期で成約しないことも多く、顧客の資金繰りを見てタイミングの良いときにクロージングという運び方をしていきます。

昔と変わった点は、個人営業がなくなっていることでしょう。いまでは個人宅にインターホンを押して回るような営業はなく、
中小企業を対象にした営業がメインになっています。

 

既存顧客営業

既存顧客営業では、既にお客様になっていただいている方に継続的かつ大きな規模で取引をしていただくための業務を指します。主に相場の報告と契約を取ることの2つが求められます。

一つ目の相場の報告では、お客様の持っている銘柄をきちんと把握し、値動きがあったタイミングなどでその時点での動きと今後の見通しについて説明していきます。お客様によっては毎朝マーケットが開く前にその日の見通しを聞いてきたりしますので、常に正しくマーケットを理解しておくことが求められます。

そして二つ目に契約を取ることが挙げられます。これが出来てこそ証券マンであり、業務のなかで最も重要な部分になります。具体的な流れとしては、お客さんとアポイントを取り、商品提案を行い、クロージングまで運んでいく作業です。基本的には毎日行い続け、数字を上げていくことが求められます。

既存顧客対応では、相場の報告時や商品提案など金融知識の必要性が大きいですので、ベテランであればあるほど有利になります。

 

証券マンのたのしい部分

ここではまず証券マンの楽しい部分について説明していきます。

口座開設を行う瞬間

入社後の最初に体感する楽しい瞬間は、顧客に口座開設をしていただく時でしょう。
アポイントを頂く所からスタートする新規開拓営業においては、口座開設をしていただくことが一つのゴールになります。
もちろんその後の資産導入がなければ成績にはならない場合もありますが、会社と顧客の間にはじめて取引関係が成立する瞬間になります。

また新規開拓営業では、たとえ同じ会社間でも営業員同士で競合することが多く、クロージングするまでいつ他の営業員に顧客を奪われるか分からない状況が続きます。口座開設を行い、自分が担当者となることでそうしたプレッシャーからも逃れられるのは安堵する瞬間でもあります。

大口取引が決まった瞬間

これは新規開拓営業でも既存顧客営業でも同様に、大口の取引が決まったときが仕事のやりがいを感じる時の一つです。
周知の通り、証券営業においてはノルマや目標が設定されることになっています。年次が上がるに連れてその金額は大きくなっていきますが、一年目や二年目でも当たり前のように年間に1億円以上のノルマが設けられます。

こうした大きな金額のノルマを達成するには通称「飛び道具」と言われる大口契約が必要不可欠になります。
1度に3000万の契約をとれば大きくノルマ達成に近づくことができ、達成感に繋がります。また、1度でも1億のとってきてしまえばその一年間は仕事を何もしなくても良い成績のまま終わることができます。

実際に成績上位の営業員のなかに、100万や200万の取引をコツコツ積み上げる人はほとんどおらず、
大半がそうした大口契約を決めた人になります。

 

証券マンのしんどい部分

それでは証券マンとして働くにあたってキツイ事はどのあたりにあるのでしょうか。
ここでは最近の証券業界の動向も踏まえながら説明していきます。

新規開拓で見込み顧客に怒られること

まず最もつらい瞬間は新規開拓でお客様に怒られることです。
先述したとおり、アポイントを1つとるためには一日100件程度テレコールをかけ続けていくことになります。
ただでさえ電話を100件かけると疲労しますが、本当につらいのは電話をかけるだけで「証券会社はお断りです」「もう二度とかけてこないで」と罵詈雑言を食らい続けることです。

中小企業の受付からすれば、こういった営業の電話は一日に何回もかかってきているため「しつこい」「鬱陶しい」など悪い印象を持っていることが多いため、まずまともに相手をしてくれません。

その上最近の証券業界では、新型コロナの影響もあり飛び込み訪問が禁止になっている場合があるため、新規開拓において先ほどのテレコールしかさせてもらえないこともあります。そうなると、罵詈雑言を食らい続けることになりストレスで消耗してしまうこともあるかもしれません。

ただ、この業務は継続していればだれでも慣れてくるので、あまり構える必要もないかと思います。

常に最新の知識を勉強しなければならないこと

証券マンとして生きていくうえで大変な面は勉強にもあります。お客さんとコミュニケーションを取るうえでマーケット知識は必要不可欠になります。毎日のように「何で○○社の株は上がってるの?」だったり「△△に興味あるんだけど、どうなの?」と聞かれることになります。そのため、毎朝日経新聞を読んだり週刊誌などで情報収集する時間を設けなければなりません。特に、日経平均とS&P500の値動きや日本とアメリカの大型株については常に最新の情報をキャッチしておく必要があるでしょう。

また、最近の証券業界では資格勉強も奨励されるようになっており、マーケットの情報収集と同時並行でAFPやCFP、証券アナリストの勉強を行う必要があります。会社によっては昇格する際の必要条件になっていたり、合格しなければ営業活動ができず支店で勉強させられるなど厳しい措置が待ち受けています。そのため貴重な土日祝日が勉強で終わってしまうなんてこともあります。

勉強が趣味な方は問題ありませんが、そうでない方にはかなり厳しい側面になるでしょう。

お客様に損をさせてしまうこと

周知の通りですが、株式や投資信託などの金融商品は価格変動によって成立しているため、どうしてもお客様に損をさせてしまう事があります。株のなかで半導体やハイテク株などは振れ幅が大きく、たった1日で10%ほど下げてしまうこともあります。せっかく大変な思いをして新規開拓ができても、利益を上げることが出来なければ顧客の関係性が悪化し、取引がなくなるといったケースもあります。また、それ以上に、お客様に役に立てなかったことへの悔しさを感じます。

証券業界の新しい側面

提案商品が自由化されつつある

昨今証券会社では、営業員から顧客に提案できる商品が自由になってきています。
背景には金融庁の規制などが強まったことがあげられますが、昔のように売りたくない商品を無理矢理売らされるようなケースは減ってきており、基本的には営業員が顧客のニーズに沿ったものを提案できるような体系が整いつつあります。

ハラスメントの減少

かつての証券業界のような「四季報を投げる行為」や「毎朝毎朝上司に怒鳴られる」などの行為も減少傾向にあります。
これは経団連を中心とした政府の働きがけがあることが背景ですが、成績が低かったり、上司に嫌われてしまったからといって露骨に暴力的行為が行われることは少なくなってきています。一部の証券会社や一部の支店では、まだ行われているようですが、かなり少数になっていると認識していいでしょう。

まとめ

今回は最新の証券業界の仕事内容についてフォーカスしていきました。
一昔前の証券業界と変化している部分もおおいため、証券業界を検討されている方は
先入観にとらわれることなく、業界研究していただければと思います。

著者情報

証券会社に就職後、メガベンチャー企業に転職。就活生及び転職者向けに金融業界の就職対策や働き方について発信しています。保有資格は証券外務員1種・証券外務員2種・AFP。

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